第５回事故死した幼馴染の口寄せ

人生に出会いと別れはつきもの。幼い頃から知っていた友人や親族が大人になっていくにつれて事故や病気でお亡くなりになることも少なくありません。ついこの前まで元気にしていたはずの人の突然の訃報は大変つらいもの。「なんでもっとたくさん話しておかなかったんだろう」「せめてもう一度だけでも話がしたい」そう思うのが人間の心理というものでございます。

今回のご依頼者は幸也さんという男性のお方。数週間前に突然、幼馴染を亡くされたそうです。死の数日前にチャットアプリで「今度また地元のやつらで飲もう」と話をしたばかりで、死因は仕事中の事故、とのことでした。「死ぬなんて思っていなかったし、元気にしていたのに、まさかこんなにあっさり逝ってしまうなんて、ショックで…。通夜にも駆け付けました。棺桶に入った彼の死に顔を見るまでは悪い冗談なんじゃないかと思っていました。でも、死に顔を見て『本当に死んだんだ』と実感しました…」と、震える声で教えて下さいました。

友達想いの幸也さんは、せめてもう一度だけ話をしたいという気持ちを抑えきれず、王寺院にご依頼をされてきました。人の魂は死後四十九日で霊界に旅立ちます。彼の突然の死からもうすぐ四十九日。もしイタコが死者の霊を降ろして話ができるなら、今しかないと思い、お電話をかけてこられたそうです。

確かに死後四十九日で人の魂は霊界に返ります。四十九日を経ってなお霊界に返らない魂は「不浄霊」と呼ばれる存在になってしまいます。しかし、我々イタコは、霊界に返った魂を呼び出し、意思を疎通することも可能です。もちろん、四十九日が経っていない魂であっても同様。まだ現世に留まっている死者霊の呼び出しは、霊界からの呼び出しに比べて容易であると言えます。私はすぐに幼馴染の方の霊体を呼び寄せました。

彼は私の呼びかけにすぐ応じてくれて、私の中にすっと入ってきました。そして最初に「すまない」と伝えてきたのです。私はそれをそのまま口に出して幸也さんに伝えました。「突然死んでしまってすまない。仕事をしていたら何か大きなものが上から落ちてきて、同僚の叫ぶ声が聴こえて、気が付くと死んでいた」とのことでした。幸也さんが泣きながら「今度また地元の友達で集まって飲もうって言ったじゃないか」と告げると「本当にすまない。でも葬式にみんな駆けつけてきてくれて本当に嬉しかった」とのことでした。

ささやかな会話の後、別れの言葉を交わし、降霊の儀は終了しました。

幸也さんは涙ながらに満足そうな声で何度もお礼をおっしゃって下さいました。「ありがとうございました。確かに彼でした。もう一度話せてよかったです」とのことでした。

親しい人の突然の訃報。それは避けようとしても避けられないものであると言えます。しかし、亡くなってしまった方の魂を現世に呼び出し、意思を通わせることが可能な我々イタコは、人と霊の間に入り、もう一度会話をしたいという想いを叶えることができます。忘れられない方はいらっしゃいますか。もう一度話したい人はいらっしゃいますか。もしいらっしゃる場合は、ぜひ当方、電話占い王寺院へご連絡下さいませ。

※幸也さんには、掲載にあたりご協力いただきましたことを心より感謝いたします。また、お名前は仮名とさせていただきましたのでご了承ください。