イタコが教える、世にも恐ろしい霊体験

この世に生きていながら、神仏や霊界とも自在にコンタクトのとれるイタコ。どんな霊も太刀打ちできないほどの高い霊能力をもっているため、霊と対峙して危険な目に遭うことなど、そうはございません。しかしそんなイタコであっても、時には想像を絶する霊体験に遭遇することも……。鑑定中にイタコが体験した、世にも恐ろしい霊体験をご紹介いたします。

※除霊・浄霊済みですので、安心してお読みください。

第二回　千葉県佐倉市／悪霊と化した性悪教師との戦い

王寺院に所属する霊能者であるわたくしは、ある日、パート主婦・森田沙織（仮名）さんから、「若い頃からなぜか上司に恵まれない」というご相談をいただきました。短大を卒業し、すぐに就職した会社でも、結婚後、子どもの手が離れてからはじめたパート勤務先でも、あからさまなパワハラを受ける、目のかたきにされ、執拗ないじめを受けるなど、異常な上司ばかりにあたるとおっしゃるのです。

当然、勤務が長続きしません。このままでは住宅ローンの支払いや、子どもの学費の貯金にも差し障りが出てしまうとたいへんお悩みのご様子。しかし、電話をとおしてはっきり霊視できたのは、勤勉に働く沙織さんの姿であり、「沙織さんはおとなしく、ひとに反論できるタイプではないものの、業務の理解が早く仕事もそつなくこなしてきている」ということ。つまり、問題はすべて上司にあるとわかりました。

さらに、すべての上司をひとりひとり霊視してみたところ、一体の悪霊が操っていたことが判明。その悪霊は金縁の眼鏡を掛けた底意地悪そうな中年女の姿をしていました。口元が歪んで、眉間には深いシワを刻んでおり、いつもイライラしている女性。ひっつめ髪には無造作に大きな椿模様の髪留めをしています。

特徴を伝えると、沙織さんは驚愕し、そして言いました。「それ、小学校4年生の1年間だけ担任だった大沼先生（仮名）です。かなり以前にお亡くなりになったと聞きましたが…じつはわたし、その先生にいつもいじめを受けていました」と。何でも、ほかの生徒や父兄の前ではニコニコとやさしい教師を演じていたのに、陰では沙織さんを呼び出しては罵倒する、何か問題が起こると沙織さんのせいするなど、いやがらせをしていたそうです。くわしく霊視すると、大沼という女教師が、おとなしく従順なタイプの生徒に目を付けてはストレス発散のためにいじめていた映像が次々とわたしの脳裏に浮かんできました。

霊能者としていつも冷静であることを心掛けているわたしでしたが、無力な子どもを何人も傷付け、幼い精神を支配した卑劣さ、悪辣さにかつてないほどの怒りがこみ上げてきたことをはっきりと覚えています。この性悪教師は死んでからも特定の生徒をいじめて得た快感が忘れられず、中でも容姿がかわいらしく、気弱で非常に支配しやすかった沙織さんに執着し、上司を操りながら死後もいじめを継続していたのでした。

わたしは、少々怒りに任せて強引に縁切りを施し、沙織さんから恐怖と不安・深い悲しみを拭い去り、守護霊さまが彼女に対して十二分に霊力を発揮できる状態に持ち込みました。しかし、義憤のあまり悪霊に対する浄霊が充分に行われなかったようで、「よくもわたしから沙織を奪ったな! 」と、電話終了後、今度はわたしに襲い掛かってきたのです。

信じられないような力で首を絞められ、意識が遠のきました。と同時に、薄れて行く意識の中、継母にいじめ抜かれて育った女教師の悲しい思いが、わたしに流れ込んでくるのがわかりました。そして部屋の高い位置に、悪霊と化してしまったわが子を見て涙する女教師の産みの実母とおぼしき老女の姿があることを、視界の隅でとらえたのです。わたしは息も絶え絶えでしたが女教師に伝えました。「わかってあげられなくて申し訳なかった。あなたも辛かったですね。しかし、霊界に上ってからも地上に執着して悪事をくり返すことで、また同じ苦しみを味わうことになりますよ。後ろを見てごらんなさい。あなたを慈しんでくれた産みのお母さんもそれを悲しんでいます」。

その直後、女教師の怪力から解放され、わたしは床に放り出されました。再び部屋の上部を見上げると、産みの母親がわたしに頭を下げ、泣きじゃくる女教師を連れて上って行く姿が見えたのです。危うく難を逃れましたが、霊能者たるもの、悪霊相手であっても冷静にその声に耳を傾けなければならないと肝に銘じ、しばらく修行に勤しむ日々を送りました。